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企業技術ブログを始める2つの道 - 外部サービスか自作か

企業の技術ブログを始めるにあたって、外部サービスを使うか自作するかの選択について詳しく解説します。QiitaやZennなどの外部プラットフォームと、自作する場合の動的・静的システムの違いを比較します。

はじめに#

こんにちは!今回は、企業の技術ブログを始めるにあたって最初に直面する大きな選択について解説します。

「技術ブログを作りたい」と思ったとき、まず決めなければならないのが「外部サービスを使うか、自作するか」という選択です。 それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の状況や目的によって最適な選択は変わってきます。

この記事では、私たちが技術ブログを立ち上げる際に検討した内容を共有し、皆さんの判断材料になればと思います。

なぜ企業技術ブログが必要なのか#

技術系企業として、エンジニアリングの知見を社外に発信することには多くのメリットがあります。

技術力のアピール: 日々の開発で得た知見や、解決した技術的課題を共有することで、企業の技術力を対外的にアピールできます。 これは顧客からの信頼獲得にもつながります。

アウトプットの習慣化: ブログ記事を書くことは、素晴らしいアウトプットの機会です。 知識を整理し、他者に伝える力が向上します。 個人開発であっても、自分の考えを言語化することで、より深い理解につながります。

技術コミュニティへの貢献: 自分が悩んで解決した問題は、きっと他の誰かも同じように悩んでいるはずです。 その解決方法を共有することで、技術コミュニティ全体に貢献できます。

ブログを作る2つのアプローチ#

技術ブログを始めるにあたって、大きく分けて2つの選択肢があります。

外部のシステムを利用する: 最も手軽な方法は、既存のブログプラットフォームを利用することです。 すぐに記事を書き始められるのが最大のメリットです。

自作する: もう一つの選択肢は、ブログシステムを自社で構築することです。 開発の手間はかかりますが、自由度は格段に高くなります。

日本で人気の技術ブログプラットフォーム#

まずは外部サービスの選択肢を見てみましょう。 日本で技術ブログを投稿できる主要なプラットフォームには以下があります。

Qiita(キータ)#

特徴: エンジニア向けに特化した国内最大級の技術情報共有サービスです。 Markdown記法やシンタックスハイライトに完全対応しており、LGTMによる評価システムで良質な記事が見つけやすくなっています。 企業アカウント機能もあり、組織としての発信も可能です。

メリット: エンジニアコミュニティが活発で、技術的な議論が生まれやすいのが特徴です。 記事の検索性が高く、同じ技術に興味を持つ読者に届きやすいという利点があります。

Zenn(ゼン)#

特徴: 比較的新しい技術情報プラットフォーム(2020年〜)で、GitHubリポジトリと連携でき、記事のバージョン管理が可能です。 技術書の有料販売機能を標準装備しており、投げ銭機能で記事への支援を受けられます。

メリット: CLIツールでローカルから記事を管理でき、Markdownファイルとして記事を管理できるため、エンジニアフレンドリーです。 有料記事の販売手数料が低いのも魅力です。

はてなブログ#

特徴: 老舗のブログサービスで安定性が高く、技術系カテゴリ「テクノロジー」が充実しています。 はてなブックマークとの強力な連携が特徴的です。

メリット: はてブ効果で記事が急速に拡散される可能性があります。 無料版でも十分な機能があり(独自ドメインは有料)、長年の運営実績による信頼性も高いです。

note#

特徴: 技術記事だけでなく、様々なコンテンツが投稿される総合プラットフォームです。 シンプルで読みやすいデザインが特徴で、有料記事の販売が非常に簡単です。

メリット: 技術系以外の読者にもリーチでき、マガジン機能で記事をシリーズ化しやすくなっています。 収益化のハードルが低いのも大きな利点です。

外部サービスを選ぶべきケース#

正直なところ、以下のような場合は外部プラットフォームの利用をおすすめします。

すぐに記事を書き始めたい: セットアップ不要で即日スタート可能です。 技術記事を書くことに集中したい場合は、これが最も重要なポイントかもしれません。

運用コストを最小限にしたい: サーバー費用やメンテナンス費用が不要です。 特に個人や小規模なチームでは、この点は大きなメリットです。

セキュリティ対策を任せたい: プラットフォーム側で対策済みなので、セキュリティの心配をする必要がありません。

既存のコミュニティを活用したい: 読者層がすでに存在するため、記事を書けば自然と読者に届きます。

なぜ私たちは自作を選んだのか#

それでも私たちが自作の道を選んだ理由は以下の通りです。

企業ブランディングの一貫性: 自社サイトと統一されたデザインで、独自のUI/UXを提供したいと考えました。 技術ブログも企業の顔の一つとして、ブランドイメージを大切にしたかったのです。

完全なコントロール: 機能の追加・削除が自由で、データの完全な所有権を持ちたいという要望がありました。 将来的な拡張性も考慮すると、自作の方が柔軟に対応できます。

SEO対策の最適化: 独自ドメインでの運用により、メタデータの細かい制御が可能になります。 検索エンジンからの流入も重要な要素の一つです。

技術的な挑戦: ブログ構築自体が良い技術的アウトプットになります。 「技術ブログを作る」という行為自体が、素晴らしい学習機会になりました。

まとめ#

技術ブログを始めるにあたって、外部サービスか自作かの選択は重要な第一歩です。

外部サービスは手軽に始められ、運用の手間も少ないという大きなメリットがあります。 特に個人開発者や小規模チームには、Qiita、Zenn、はてなブログ、noteなどの優れた選択肢があります。

一方、自作することで完全なコントロールと自由なカスタマイズが可能になります。 私たちはブランディングや技術的な挑戦を重視し、自作の道を選びました。

次回の記事では、自作する場合の動的システムと静的システムの違い、そして私たちが最終的にAstroを採用するまでの経緯について詳しく解説します。

皆さんの技術ブログ構築の参考になれば幸いです!